良書読書会のしおり

なんばまちライブラリーが惜しまれて閉館したため、新大阪で開催しています。初参加の方大歓迎。現在は季節ごとに開催。

第1回銘書読書会(『カンディード』)へのお誘い

良書読書会の主催者が、この春から新たに始める読書会、「銘書読書会」。座右の「銘」に置きたい書物を、一緒に増やしていきませんか? 銘書読書会は、現代に読んでも価値のある書物=「銘書」を、古典として受け取るのでなく、新たな視点で読み返し、参加者…

第31回良書読書会 課題書決定!

昨日の『博士の愛した数式』読書会にご参加いただいた皆様、ありがとうございました!まさか読書会のホワイトボードで「スクイズ」の解説をする日がくるとは(!)思いませんでしたが、小川洋子がいかに野球ファン・阪神ファンのツボを押さえた記述をしている…

2/17(土)『博士の愛した数式』読書会 クイズ

良書読書会では、前日24時までに「感想文」(書式自由)を各自作成しメールで送付してもらうきまりとなっています。 (読書会の詳細や参加方法については、ひとつ前の記事 https://goodbooks-preservation.hatenablog.com/entry/2024/01/10/211250 をお読みくだ…

良書読書会 小川洋子回 日程決定!!

小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫)を課題書として行う第30回良書読書会、その日程が決定しました!初めての方も大歓迎、奮ってご参加ください。 課題書: 小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫) 日時: 2月17日(土) 15:00集合~18:30 (※途中参加、早退…

良書読書会今後のラインナップ(2024)

平成の「良書」=誰が読んでも面白い小説、を探求し議論を戦わせている、良書読書会です。来年の事を言うと鬼が笑うと申しますので、大いに笑わせてみようと思い立ちました。皆様、良いお年を。 第30回 小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫) 2月開催 第31…

第30回良書読書会のお知らせ

「良書」=誰が読んでも面白い小説、をみんなで読み、感想を語り合いましょう。 課題書: 小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫) 日時: 2024年2月17日(土)または24日(土) 15:30~ (日は、参加者の方のご都合によって、新年にどちらの日かを決定します。) 会…

山田詠美の「もう一つの国」 『ベッドタイムアイズ』論

山田詠美『ベッドタイムアイズ』は、肌の柔らかさと金属の硬さが共存し、時に不協和をきたすありようを描いている。語り手のキムは、黒人兵が「黒い指の間にはちみつがしたたり落ちるかのように金色」(p.11)のグラ スを持っている所を見て欲情を抱き、黒人兵…

「終わった感」で読み解く2019年映画 『スター・ウォーズ』の夜明けを待ちながら

「旅人は答えた 終わりなどはないさ 終わらせることはできるけど」― ポルノグラフィティ「アゲハ蝶」 「それは始まりの終わり、終わりの始まりだったんだ」― 「ザ・バンド」ロビー・ロバートソン、映画『ラスト・ワルツ』での発言 過ぎ去った2019年は、ハリ…

第14回良書読書会記録 村上春樹『アフターダーク』(10/5)

良書読書会#14 課題書:『アフターダーク』(講談社) 開催:2019. 10.5 @芦屋、村上春樹ゆかりの地 打出図書館会議室→打出公園→ジャズレストラン「レフトアローン」 発表担当:江戸 《レジュメはこちら 、パワーポイントはこちら》 ☆村上春樹の『アフター…

キリキリとゾワゾワ—吉行淳之介『闇のなかの祝祭』(1961)

私が生まれて初めて吉行淳之介に触れたのは『樹に千びきの毛蟲』だった。といっても、この題名がつけられた彼のエッセイ集の中身は未だに読んだことはない。幼少の頃、実家の本棚に並んでいた数ある背表紙の中で、この題名がいつも目に留まり続けたのを覚え…

第13回良書読書会記録 綿矢りさ『勝手にふるえてろ』(9/14)

良書読書会#13 課題書:『勝手にふるえてろ』(文藝春秋) 開催:2019. 9.14 @まちライブラリー大阪府立大学 発表担当:_ 《レジュメはこちら 》 ☆綿矢りさの『勝手にふるえてろ』を課題書に読書会を行いました!☆ ★ 象徴クイズ ①作中に「~、勝手にふる…

21世紀名作映画この10本①:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』とつなぐ力

二人のマックス 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)は独白から始まる。"Once I was a cop." その第一声を聞いた瞬間、観客の脳裏には『マッドマックス』(1979)でのメル・ギブソンの勇姿がよみがえるだろう。車に押し潰される娘のフラッシュバック…

村上春樹読書会記録 『海辺のカフカ』

М さあ始まりました!村上春樹読書会!猫先生 パフパフパフ!М 第1回は『海辺のカフカ』をお送りします。猫先生 イェーイ!М МCはわたくしМが、みなさまのお相手させていただきます。これから一時間よろしくお願いしまーす!猫先生 よっ日本一!М ではメン…

第10回良書読書会記録 津村記久子『ミュージック・ブレス・ユー!!』(6/22)

良書読書会#10 課題書:『ミュージック・ブレス・ユー!!』(角川文庫 発表2008→文庫化2011) 2019. 6.22@まちライブラリーなんば 発表担当:M/T《レジュメ》 ◆ 人称と視点について(ジェラール・ジュネット『物語のディスクール』(1972)による整理)人称 …

網羅への諦念が漂う博物誌 — 寺山修司『幻想図書館』(1982)

今期放送中の、幾原邦彦監督のアニメ『さらざんまい』を観ていて、「これはまるで寺山修司じゃないか!」と思ったのをきっかけに、改めて寺山修司の諸作品に興味を持ち、少しずつ入手を試み始めている。 その中の一冊、『幻想図書館』は1982年に出版されたも…

本をめくる手

0.5ミリの長さに揃え終えると、私はその美しい曲線を眺めながら、親指で四つの爪先の滑らかさを心地良く味わった。 男だからと爪切りでぱちぱちと角を作りながら乱暴に切る人もいるが、私は必ず、やすりで整えるという習慣を自分に課していた。 女性でなくて…

私の傑作:宮沢賢治『銀河鉄道の夜』①

小学4年の夏休み。 私は台所で『銀河鉄道の夜』を初めて読んだ。 ベランダに繋がる開けっ放しのドアから、真夏だというのに心地いい涼風が 読了後に残った、ぼんやりとした悲しみを優しく撫でていった。 学生生活の夏休みで印象的に覚えている思い出の一つで…

名作日本文学読みなおし③ 太宰治「走れメロス」

「走れメロス」は太宰治の代表作として多くの教科書に収録され少年少女の心に友情の美しさを焼き付ける一方で、太宰作品全般から見ると「太宰らしさが皆無」「なんかいつものウジウジした太宰と違う」「明るすぎる」と継子扱いされてきた、奇妙な矛盾をはら…

良書読書会のおきて

第一条 「それでは、全員揃ったようですので、今月の定例会を開催したいと思います」 主催者の陰気な声に、開始時間ぎりぎりまで未練がましく課題図書を読み込んでいた私は顔を上げた。 「Bさん、いいかな?」とこちらに問いかける声色はいかにも物腰が柔ら…

第9回良書読書会記録 吉田修一『横道世之介』(5/11)

良書読書会#9 課題書:吉田修一『横道世之介』(毎日新聞社 発表2009→文春文庫2012)2019. 5. 11@まちライブラリーなんば 発表担当:M/T 《レジュメ》 章タイトルと出来事【FF=フラッシュフォワード:1987年より先の時点での語り】 四月 世之介、上京。…

名作日本文学読みなおし② 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読むと、そのたびに不思議な思いにとらわれます。本を読まない小学生でも名前は知っている古典なのに、読んでいる途中も読み終わった後も浮遊感が続き、決して作品世界に慣れるということがありません。「ジョバンニ」や「カム…

これは作者の罠なのか — 安部公房『笑う月』(1975)

安部公房は間違いなく戦後日本を代表する作家の一人だ。「ノーベル文学賞受賞寸前だった」というような世俗的なニュースもたまに流れてきたりするので、名前だけでも知っている人も多いだろう。あるいは、教科書で短編『赤い繭』(『壁』より)やエッセイ『…

名作日本文学読みなおし① 志賀直哉「城の崎にて」

志賀直哉は、「小説の神様」とまで謳われた近代日本文学の巨人です。中でも「城の崎にて」(1917)は国語の教科書にも採録され、最も知名度が高い短編でしょう。しかし先入観を抜きにして読んでみると、これほど異様な短編も少ないように思える…。いったいど…

はじめに

はじめまして、良書読書会です。私たちの読書会で取り上げている「良書」とは、「誰が読んでもおもしろい小説」のことです。 このブログでは、良書読書会の告知や活動報告と、メンバーが好きなもの・良いと思うものについて書いた文章を載せています。「好き…

第8回良書読書会記録 唯川恵『肩ごしの恋人』(4/20)

良書読書会#8 課題書:『肩ごしの恋人』(マガジンハウス 2001) 開催:2019. 4.20 @京都御所、乾御門のへん 発表担当:shoco 《レジュメはこちら》 ☆ 「これは…良書…かな??」 ☆ 春の陽気と言うには少し暑い日曜日 ビニールシートをひいてピクニック的に…