良書読書会のしおり

なんばまちライブラリーが惜しまれて閉館したため、新大阪で開催しています。初参加の方大歓迎。現在は季節ごとに開催。

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

私の傑作:宮沢賢治『銀河鉄道の夜』①

小学4年の夏休み。 私は台所で『銀河鉄道の夜』を初めて読んだ。 ベランダに繋がる開けっ放しのドアから、真夏だというのに心地いい涼風が 読了後に残った、ぼんやりとした悲しみを優しく撫でていった。 学生生活の夏休みで印象的に覚えている思い出の一つで…

名作日本文学読みなおし③ 太宰治「走れメロス」

「走れメロス」は太宰治の代表作として多くの教科書に収録され少年少女の心に友情の美しさを焼き付ける一方で、太宰作品全般から見ると「太宰らしさが皆無」「なんかいつものウジウジした太宰と違う」「明るすぎる」と継子扱いされてきた、奇妙な矛盾をはら…

良書読書会のおきて

第一条 「それでは、全員揃ったようですので、今月の定例会を開催したいと思います」 主催者の陰気な声に、開始時間ぎりぎりまで未練がましく課題図書を読み込んでいた私は顔を上げた。 「Bさん、いいかな?」とこちらに問いかける声色はいかにも物腰が柔ら…

第9回良書読書会記録 吉田修一『横道世之介』(5/11)

良書読書会#9 課題書:吉田修一『横道世之介』(毎日新聞社 発表2009→文春文庫2012)2019. 5. 11@まちライブラリーなんば 発表担当:M/T 《レジュメ》 章タイトルと出来事【FF=フラッシュフォワード:1987年より先の時点での語り】 四月 世之介、上京。…

名作日本文学読みなおし② 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読むと、そのたびに不思議な思いにとらわれます。本を読まない小学生でも名前は知っている古典なのに、読んでいる途中も読み終わった後も浮遊感が続き、決して作品世界に慣れるということがありません。「ジョバンニ」や「カム…

これは作者の罠なのか — 安部公房『笑う月』(1975)

安部公房は間違いなく戦後日本を代表する作家の一人だ。「ノーベル文学賞受賞寸前だった」というような世俗的なニュースもたまに流れてきたりするので、名前だけでも知っている人も多いだろう。あるいは、教科書で短編『赤い繭』(『壁』より)やエッセイ『…

名作日本文学読みなおし① 志賀直哉「城の崎にて」

志賀直哉は、「小説の神様」とまで謳われた近代日本文学の巨人です。中でも「城の崎にて」(1917)は国語の教科書にも採録され、最も知名度が高い短編でしょう。しかし先入観を抜きにして読んでみると、これほど異様な短編も少ないように思える…。いったいど…

はじめに

はじめまして、良書読書会です。私たちの読書会で取り上げている「良書」とは、「誰が読んでもおもしろい小説」のことです。 このブログでは、良書読書会の告知や活動報告と、メンバーが好きなもの・良いと思うものについて書いた文章を載せています。「好き…